2023年1月にNFTの売買・転売・譲渡に関する税務上の取り扱いについて国税庁から発表がありました。



この記事では国税庁の発表をもとにNFTの売買や譲渡に関する税務上の取り扱いについて、出来るだけ分かりやすく解説していきます。
個人・法人でNFTの関する税務上の取り扱いルールが異なります。この記事では基本的に個人(給与所得者)を対象にした税務上の扱いになりますので、ご注意下さい。
- 仮想通貨
- DeFi
- NFT
に関する税務上の取り扱いについては以下の動画が分かりやすいです。
そもそもNFTとは
NFTとは「Non Fungible Token」の略で非代替性トークンという意味です。
デジタルデータには本物・偽物の概念がありませんでしたが、NFTという技術によって本物・偽物の区別がつき唯一無二の資産として近年、注目を浴びています。



NFTの誕生によりデジタルデータに価値がついたことによって、NFTで稼ぐ人が出てきました。そこで国税庁はNFTに関する税務上の取り扱いを2023年1月に発表しました。
NFTでの所得があった際には納税の義務が発生します。
しかし、国税庁のガイダンスの内容が法的に常に正しいとは限りません。法的に誤った回答をしてしまうこともあります。
国税庁の発表に依存しすぎず、納税の際にはプロの税理士に相談することをオススメします。
NFTの税務上の取り扱いについて
NFTは税務上、仮想通貨ではなく無形の資産と考えられます。
NFTの転売や譲渡などで所得が生じた場合、2種類の所得があるということを覚えて置きましょう。
- 譲渡所得
- 雑所得



NFTで得た収益は「譲渡所得」なのか。それとも「雑所得」なのかを見極めよう。それぞれ課税対象ですが、納税額が変わってきます。
NFTでの収入が【譲渡所得】になるケース
デジタルアート制作者からNFTを購入し、そのNFTの保有期間が5年以内でマーケットプレイスを通して第3者に有償で転売して報酬を得た場合。



この場合は所得税の課税対象になり【短期譲渡所得】になります。
②デジタルアート制作者からNFTを購入し、そのNFTを5年以上保有して、マーケットプレイスを通して、第3者に有償で転売して報酬を得た場合



NFTの保有期間が5年以上で転売した場合は【長期譲渡所得】になります。
NFTでの収入が【雑所得】になるケース
①デジタルアートを制作し、マーケットプレイスを通して、第3者に有償でNFTを販売して報酬を得た場合



デジタルアート制作者がNFTを売って報酬を得た場合は【雑所得】になります。
NFTの税金はいくらから発生する?
共に20万円以上の所得がある場合、所得税の課税対象になります。
- 譲渡所得
- 雑所得
譲渡所得の計算方法
NFTの所得に関して【譲渡所得】の計算方法は以下の通りです。
【短期譲渡所得】=NFTの保有期間が5年以内の場合
【長期譲渡所得】=NFTの保有期間が5年以上の場合



譲渡所得の金額が20万円を超えた時から税金が発生します。特別控除の額が50万円なので、転売での収益が少なくとも70万円以上ないと税金は発生しません。
私はOpenseaで2万円でNFTを購入して、転売で72万円の利益が出た。この場合、税金は発生するか。
税金は発生しない。【NFTの所得費】には、ガス代も含まれるので、上記の場合、譲渡所得は20万円を超えない。よって税金は発生しない。
雑所得の計算方法
NFTの所得に関して【雑所得】の計算方法は以下の通り。
雑所得の金額=【NFTの譲渡収入】-【NFTに係る必要経費】
(㊟)NFTの譲渡収入をマーケットプレイス内で通貨として流通するトークンで受け取った場合には、そのトークンの時価が譲渡収入になる。
(㊟)NFTに係る必要経費とは、NFTの譲渡収入を得る為に必要な売り上げ原価の額並びに販売費及び、一般管理費の額。(デジタルアートの製作費は含まれません。)



例えば、有料のお絵描きツールを使ってデジタルアートを制作した場合、お絵描きツールの月額費用は必要経費に計上されません。Openseaに出品した際のガス代が必要経費として算出されます。
NFT転売に関する税金まとめ


NFT転売で赤字を出した場合
NFT転売で赤字を出した場合は他の所得との損益通算が可能です。



NFT転売で税金対策をしたい場合、例えば譲渡所得が20万円を超えて税金を納めないといけない時。【転売目的】でNFTを購入すれば、その購入費用は【NFTの取得費】になるので、譲渡所得を20万円以内に収めることができます。
NFTクリエイターの税金まとめ


NFTアートを制作して収入にならずに赤字だった場合
雑所得の金額が赤字だった場合には、他の所得との損益通算はできません。
NFTの転売で譲渡所得が20万円以上あった。しかしデジタルアートを制作したが売れなかったので、雑所得は赤字だった。この場合、税金が発生します。



雑所得の金額が赤字だった場合には、他の所得との損益通算はできません。
デジタルアートを制作し第三者に販売して25万円の雑所得があった。しかし、NFT転売で6万円の損失を出し、譲渡所得は赤字だった。この場合、税金は発生しません。



譲渡所得で赤字を出した場合は他の所得との損益通算が可能です。
NFTゲーム(Play to earn)の税金の取り扱いについて
NFTゲーム内で得た仮想通貨は所得税法上の課税対象になります。
NFTゲームの報酬は雑所得に区分されます。



NFTゲームの所得区分はNFTクリエイターの収入と同じ雑所得扱いです。
雑所得の金額=【NFTゲームの収入金額】-【NFTゲームの必要経費】
NFTゲームの所得税法上の注意点
- ゲーム内トークンの増減で雑所得の金額の算出が困難な場合、【簡便法】で金額を計算できます。
- その年の1月1日時点のゲーム内通貨の金額
- その年の12月31日時点のゲーム内通貨の金額



歩いて稼ぐゲーム【Stepn(ステップン)】が全盛期の時は20万円以上のトークンを稼いだ人も大勢いるでしょう。しかし、その年の内にトークンの価格が減少したので、当時は20万円以上稼いでいたとしても、非課税対象です。
NFTの所得税法上、非課税となるケース
NFTの所得税法上、非課税となるケースは次の通りです。
- デジタルアートを制作し、知人に無償でNFTを贈与したとき
- 居住国が日本以外のとき
①デジタルアートを制作し、知人に無償でNFTを贈与したとき
デジタルアートを制作して、マーケットプレイスを通して、知人に無償でNFTを贈与したときは所得税に課税対象にはなりません。
②居住国が日本以外のとき
マーケットプレイスを通してNFTの販売で収入を得ても、居住国が日本以外の場合は、日本での課税対象にはなりません。
居住国での課税対象になる場合があります。
詐欺によってNFTが消失した場合
マーケットプレイスを通して、NFTアートを購入し、その後、詐欺や不正アクセスによってNFTが消失した場合は【雑損控除】または【必要経費】に計上することができます。
NFTのエアドロップに関する税金の取り扱いについて
NFTを貰った場合の税金について見ていきましょう。
TwitterでNFTのgivewayなどが頻繁に行われており、中には高額のNFTもあります。
この場合の税金の取り扱いについては以下の通りです。
個人から経済的価値のあるNFTをgiveway等で当選し、NFTが贈与された場合には、贈与税または相続税が課されます。
NFTのエアドロップでいくらから税金かかる?
贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。
国税庁ホームページ:No4402 贈与税がかかる場合
NFTの税務に関する補足事項
ここからはNFTの税金の補足事項で主に【確定申告】について別記事を紹介していきます。
税金については、国税庁よりもプロの税理士の意見の方がいいので、実際の税金の現場で働く人の記事の方が為になります。
- 確定申告のタイミング
- 確定申告のやり方や流れ
- 副業が会社にバレない方法
NFTの確定申告のタイミングは?
所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することになっています。
国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき
NFTの確定申告のやり方?


副業禁止の公務員でも大丈夫?会社に副業がバレない方法


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